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免疫反応の生理学

抗原が体内に入ると、免疫反応が活性化します4。抗原が表皮のランゲルハンス細胞などの抗原提示細胞によって最初に認識されると、リンパ節および細網内皮細胞系が刺激されて、その抗原に対するT細胞と特異的な抗体が産生されます(図1)5。
 
#1 図1:獲得免疫の流れ
 
人 が同じ抗原に再度曝露された場合は、抗原抗体反応に加えて、細胞性免疫反応が再始動します。抗原との最初の接触に反応して産生され、リンパ節などに残って いたメモリーT細胞が、その抗原を「異物」として認識します。繰り返し曝露されるごとに、T細胞はサイトカインおよびマクロファージの局所的放出を刺激 し、炎症反応を引き起こします(図2)5。
 
図2:炎症反応
 
手袋による皮膚の有害反応
 
天然ゴム製手袋に対する有害反応は、比較的軽度の刺激性のものから重篤なアレルギー反応を発発症するものまであります4。
 
天然ゴム製手袋による主な4種類の有害皮膚反応
・即時型過敏症(I型 ラテックスアレルギー)
・遅延型過敏症(IV型 接触性皮膚炎)
・刺激性接触性皮膚炎
・手袋のパウダーによる刺激です。

即時型I型反応:ラテックスアレルギー

I型反応はラテックスに存在する残留蛋白質に対する反応です4。ラテックスには250種類を超える蛋白質がありますが、アレルギーを引き起こす可能性のあるものは約20%です。
反応は即時型で、一般に最初の接触の5~30分後に生じます。
よく見られる症状
・ 曝露部位に限局される腫脹および発赤
・ 痒みや灼熱感などの非特異的症状
 
症状が手袋を着用し接触した部位(局所的)に留まらず、別の箇所・全身に発症することがあります。
・ 結膜炎
・ 鼻炎
・ 気管支閉塞
 
ま た、まれですが、アナフィラキシーの症状が生じることがあります。I型アレルギー反応はIgE抗体によって媒介されます7。ラテックスに対するIgE媒介 性過敏症には急激に発症する早発相と遅発相があります。早発相では、血中のラテックス抗原が肥満細胞のIgE受容体と架橋し、肥満細胞を活性化して、気道 にヒスタミンや他のケミカルメディエーターを放出します5。メディエーターの放出は抗原への曝露の数分以内に起こり、アレルギー症状の発現と相関します (図3)7。
 
図3:I型アレルギー反応(早発相)
 
遅発相では、好塩基球、好酸球および好中球の流入があると、数時間後に症状が再度活性化します7。その後、ヒスタミン放出因子が産生され、その一部が好塩基球結合IgEと架橋し、炎症細胞放出メディエーターを刺激します(図4)。
 
図4:I型アレルギー反応(遅発相)
 
遅延型IV型反応―遅延型接触性皮膚炎
IV 型アレルギーは、手袋製造工程からの残留化学物質などの特定のアレルゲンに対する反応です(多くは加硫促進剤で、この臨床マニュアルの15ページに記載さ れています)8。反応は遅延型で、通常は最初の接触の6~48時間後に生じますが、症状が持続するのは4日までです。症状には以下のものがあります。
・ 紅斑
・ 腫脹
・ ひび割れ
・ 痒み
・ 浸出
・ 接触部位の皮膚乾燥(ただし、皮膚炎は接触部位を超えて拡大することがあります)
 
IV型反応は(手袋の残留化学物質などの)抗原が皮膚に浸透し、特異的な抗原に感作されたT細胞の形成が誘発されると始まります5。
 
アレルギーの人が抗原に繰り返し曝露されると、感作されたT細胞が再活性化し、炎症反応が生じて、IV型症状が引き起こされます5。
 
過敏症のその他の原因
 
手術用手袋に含まれる他の物質に対し過敏症となる人もいます。ラテックスと加硫促進剤以外の過敏症の原因には以下のものがあります。
・ ラノリン:手袋製造中に含まれる軟化剤・ポリオキシプロピレングリコール:手袋の製造工程で使用される凝固剤
・ 有機または無機の色素
・ 第四級アンモニウム化合物
・ 天然ゴムラテックス製品の分解を防止するのに使用する抗酸化剤
・ 防腐剤