Skip to main content

医療用手袋の使用に伴って生じる皮膚に対する有害反応とは?

 

天然ゴムラテックス

天然ゴムラテックス含有手袋は、感染管理の観点からすると、ウィルス、細菌の伝播に対する優れた保護機能を備えており、医療業務には欠かすことのできない製品です。しかし、人によっては、天然ゴムラテックス手袋を使用した際に皮膚に炎症を起こすことがあります。

加硫促進剤

アレルギー反応や皮膚の炎症は、手袋の原材料である天然ゴムラテックスに対する反応(ラテックスアレルギー = I型/即時型アレルギー)の他に、製造工程において使用する加硫促進剤などの化学物質を原因とするものがあります5。ジフェニルグアニジン(DPG)は、手袋の製造で使用する加硫促進剤の一種です。このDPGなどの加硫促進剤が、化学物質アレルギーIV型/遅延型アレルギーの主な原因となります。

通常、医療用手袋の製造工程では、このような加硫促進剤が使用されるのが、一般的です。

医療用手袋の製造で使用される最も一般的な加硫促進剤

手袋の製造工程において加硫促進剤を使用した場合、化学物質アレルギーIV型/遅延型アレルギー(接触性皮膚炎)の主な原因となります。手袋の製造で使用する加硫促進剤には、主にチウラム、メルカプトベンゾチアゾール、ジチオカルバメート(カルバミン酸塩)の3種類があり、これらを単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用します。

チウラム

チウラムは、アレルギー性接触皮膚炎の原因となる最も一般的な物質です。チウラムは加硫処理(加熱処理)中に分解し、硫黄とカルバミン酸塩を遊離する役割を果たします。

メルカプトベンゾチアゾール(MBT)

研究によれば、元々MBTは、重大な感作物質(感作反応を増幅する原因となる化学物質)としての作用を備えていると考えられてきたことが明らかとなっています。しかし、この化合物グループに対する感作の発生率は、他の加硫促進剤に対する発生率よりも低くなっています。重要な特徴として、MBTは亜鉛と反応しやすく、硫黄架橋結合を促進し、手袋の引張強度を高めることがあげられます。

ジチオカルバメート

ジチオカルバメートは硫黄を吸収し、手袋の原材料中に運搬することによって、架橋結合と硬化を促進します。ジチオカルバメートの感作性は、チウラムやMBTと比べても小さいものです。ジチオカルバメートには、34種類の化合物があります。これらの化合物は亜鉛を含有しており、この亜鉛が天然ゴムラテックスへの加硫促進剤の溶解性や、(天然ゴムラテックスの)硫黄との反応性に大きな影響を与えます。

アンセルでは、医療業界においてアレルギー性接触皮膚炎(化学物質過敏性)に対する不安が広がりつつあることを踏まえ、皮膚に対する有害反応を生じる可能性を低減するため、手袋の製造工程における加硫促進剤の使用を最小限に抑える取組みを行っています。またアンセルでは、ラテックスアレルギーやDPGを原因とするアレルギー性接触皮膚炎(化学物質過敏性 = IV型アレルギー)に悩む医療従事者向けの製品として、ラテックスアレルギー及び化学物質過敏性の両方を予防し、天然ゴム製手術用手袋と同じレベルの快適さを備えたDPG不使用のポリイソプレンを使用した手術用手袋の開発に成功いたしました。

アンセルでは、継続的改善に向けて全力で取り組んでいます。その結果、製造工程において残留タンパク質を洗浄することに成功し、それ以外にも当社製手袋によるアレルギー誘発性を抑制するための、数多くの技術革新を成し遂げました。

手袋用パウダー

医療用手袋の製造工程では、装着の容易さを高め、手袋のべたつきを防ぐための潤滑剤として、古くからパウダー(コーンスターチ)を使用してきました。ただし手術用、検査・検診用手袋のコーンスターチパウダーに接触した場合、さまざまな望ましくない反応を引き起こすことがあることが、分かってきました。

手袋用パウダーの危険性に関連する詳しい情報については、こちらをクリックして下さい。

過敏症を引き起こすその他の原因

天然ゴムラテックスや加硫促進剤の他にも、石鹸や手洗い消毒、研磨性ハンドタオルを使用した際に、それらを原因とする有害反応(手荒れ等)を生じることがあります。また以下の物質などを原因とする有害反応も考えられます。

  • ラノリン: 一部のメーカーが手袋を柔軟にする薬品として使用(アンセル製品では使用していません)
  • ポリオキシプロピレングリコール: 手袋の製造工程で使用する凝固剤(アンセル製品では使用していません)
  • 着色顔料(有機または無機)
  • 第4級アンモニウム化合物
  • 界面活性剤
  • 天然ゴムラテックス製品の劣化防止用として使用する酸化防止剤
  • 保存料

反応の種類

手袋の使用に伴う皮膚に対する有害反応には、主に以下に示す3種類があります。

1. ラテックスアレルギーI型/即時型アレルギー

I型アレルギーとは、天然ゴムラテックスに含まれる残留タンパク質に対する反応です4。通常、このアレルギー反応は、最初に接触してから5~30分という短時間に発症します。一般的な症状をご紹介します。

  • 接触した個所の腫れや発赤。
  • 痒みや炎症などの非特異的症状。

手袋と接触した個所から離れた場所にも症状が広がることがあります。また以下の症状を伴うことがあります。

  • 蕁麻疹
  • 発熱
  • 気管支閉塞
  • 喘息

まれにアナフィラキシーショックの症状が出ることがあります。

2. 化学物質アレルギーIV型/遅延型アレルギー(接触性皮膚炎)

IV型アレルギーとは、手袋の製造工程中に使用される化学物質(一般的には、加硫促進剤)が、手袋に残留していることにより起こる、特定のアレルゲンに対する反応です8。その反応は即時型よりも遅く、通常は最初に接触してから6~48時間後に発症します。ただし、その症状は最長で4日間続くことがあります。
症状の例をご紹介します。

  • 紅斑
  • 腫れ
  • ひび
  • 痒み
  • 滲出
  • 接触個所の皮膚の乾燥(接触個所の外部にも皮膚炎が拡がることがある)

3. 刺激性接触皮膚炎-非アレルギー性

刺激性接触皮膚炎とは、手袋を使用した人の多くに発症する非免疫反応です。(アレルギー反応ではありません)以下の条件に対する反応が局所的に生じることがあります。

  • 洗浄剤
  • 頻繁な手洗い
  • 不十分な乾燥
  • 極端な天候、湿度
  • 既往の皮膚炎
  • 激しい手洗い
  • 手袋用パウダー

通常、手袋と接触後、数分から数時間で発症します。症状は、手袋と接触した個所に限られます。症状の一部をご紹介します。

  • 発赤
  • ひび割れ
  • 擦過傷
  • 乾燥
  • 剥がれ・ひび

 

現在、手袋用の粉剤(パウダー)として、コーンスターチが最も広く使用されています。コーンスターチパウダーに接触した場合、以下などの有害反応を生じる可能性があります。

  • 眼の炎症
  • 上気道疾患
  • 職業性喘息
  • 胸膜炎
  • 心筋炎
  • 中枢神経系の炎症
  • 手荒れ

また上皮性悪性腫瘍や結核と誤診される場合もあります。
手術用パウダーの危険性に関連するの詳細については、こちらをご覧下さい。

皮膚に対する有害反応に関するその他の情報

アンセル手袋製品のアレルギー誘発性を最小限に抑えるためのアンセルの取組みの詳細については、こちらをご覧下さい。

専門家によるアドバイスをお求めの方

医療用手袋によるお悩みのアレルギーや過敏症について株式会社アンセル・ヘルスケア・ジャパンまでお問い合わせ下さい。